人は寝ないとどうなるのか
私たちの生活に必要不可欠な睡眠。しかし、時には邪魔な存在になる事もあります。テスト前や受験勉強など、人によっては徹夜をする場合もあるでしょう。中には夜勤明けに遊びへ出掛けるなど、睡眠時間を削る方も多くいらっしゃいます。
では、「人は寝ないとどうなるのか?」こちらについてご紹介していきます。
人は最大で何時間起きていられるのか?
「人は最大何時間起きていられるのか?」
誰もが一度は考え、試した事があるかと思います。
しかし、多くの方は数日で限界が来てしまい、断念した事でしょう。
1964年にアメリカで行われた断睡実験では、264時間12分の実験結果が残っており、約11日間起きていた事になります。
そして、被験者は途中から様々な精神的被害に陥ったとの事。
断眠開始後、日がたつにつれ集中力が低下、情緒が不安定になり、幻覚が出現しました。運動機能に大きな異常はみられませんでしたが、言語は不明瞭になり、簡単な計算が困難になりました。
http://sleep-col.com/寝ないと脳の働き低下/2 睡眠健康大学 寝ないと脳の働き低下
このような結果を見ると、さすがに11日も起きていたいと思う方はいないでしょう。
徹夜をするなら何日まで?
それでは何日間の徹夜であれば、健康被害を抑えた状態で過ごせるのか?
先ほどご紹介した実験結果によると、3日間であれば問題無いとのことです。
それでも次第に目がかすみ、頭がぼんやりしてくるとの事。確かに、徹夜をした後に見られる軽い症状のような物で、それが3日間続くようであれば特に問題無さそうな気がします。
しかし、問題が発生するのは4日目以降で、ここからは感情の起伏が激しくなり、多くの方が怒りっぽくなるとの事です。5日目以降になると、集中力が無くなり、錯覚や妄想が現れるようになります。
気分が沈み、イライラし、物が人に見えるという幻覚まで出現しています。周囲から自分は嫌われていると妄想的な訴えも。
https://www.wakamatsu-cl.com/wp_knowledge/suiminbusoku/2 わかまつ呼吸器内科クリニック 睡眠不足が引き起こす影響について
ですので、皆さんは徹夜をする時は最大でも3日までに留めておく事をお勧めします。
生物にとっての睡眠とは?
人間以外でもラットを使った断眠実験は行われていました。
1980-90年代にラットを使った一連の断眠実験が行われました。
https://tanigaku.jp/wp/?p=2544 安全性評価研究会 谷学発!常識と非常識 第57話 睡眠とは何か①:ヒトはなぜ眠るのか?
ラットを使った断眠実験では、2週間で死んでしまった結果もあり、生物にとって睡眠は生死を分ける重要な要素である事は明らかとなりました。しかし、先程ご紹介した人間での実験では、その後の14時間の睡眠で通常の状態まで回復したと言われています。研究者によると、何らかの後遺症が残ってもおかしくはない状態でありながら、特に精神的な後遺症を残さなかったとの事でした。
ラットは死に至ったが、人間は後遺症すら残さなかった。これにはいくつかの理由があります。
実験方法の違い
まず、ラットは常に脳波の測定を行いながらの実験に対して、人間での実験では脳波の測定は行われていませんでした。これにより、人間の脳内がどのような状態だったのか、不明点が残っていると言う事です。もし、人間とラットとの実験結果を比較するのであれば、断眠実験中の人間の脳内を測定する必要があります。
精神的ストレスの差
ラットの実験装置に水上円盤法が用いられていました。こちらはラットが眠いと感じた瞬間に円盤がゆっくり動き出し、水中の中に落ちてしまうと言う装置になります。水中に落とされたラットは慌てて目を覚ます為、精神的ストレスが非常に大きい事が分かります。それに対して、人間での実験では外部からの精神的ストレスを与える事も無かった事から、精神的ストレスの差は歴然でした。
マイクロSLEEPの発生
マイクロスリープとは無意識に一瞬だけ寝てしまう状態の事を言います。以前紹介したマイクロスリープを取り入れたナノナップと言う睡眠方法もあるので、良ければ参考にご覧ください。

今回のラットの実験では脳波の測定により、マイクロスリープが発生していない事が明らかになっています。
しかし、人間での実験では脳波の測定が行われておらず、途中に無意識の状態に陥るシチュエーションもあった事から、恐らくマイクロスリープが発生していた可能性があります。言い換えれば、無意識に睡眠を取っていた可能性があると言う事です。
まとめ
今回のアメリカでの実験では、11日間起きていたにも関わらず後遺症が残ったり、死に至る事はありませんでしたが、生物にとって睡眠は生死に関わる重要な役目である事は事実です。恐らく11日間も我慢して起きようとする方は居ないと思いますが、健康の事を考えれば毎日の睡眠が1番である事は確かです。